暑い夏に知人や友人にお中元でワインを送りたい方、
または通販で買う方、
悩む所はここですよね!
普通の宅急便で送るか? or クール宅急便で送るか?
目次
ワインは常温とクール便どちらで送るのが良い?
前置きしますが、僕は酒屋やってます。
親の代を継いで5年ぐらい。一年前の10月からはネット通販も始めました。
すると、今年の夏は、ネット通販での夏、初体験(笑)
すげー悩む。
クール便のほうが良いのか?はたまた、普通に送ったほうが良いのか。
「ワインは高温で保存してはいけない。」
うむ。
そんな事は解る。
だから地酒中心の店なのに小さいワインセラーを無理やり置いた(苦笑)
じゃあ、やはりクール便か。
調べると、ワインを扱う店は大半が夏はクール便だ。
なるほど。
しかし、疑問が残る。
宅急便の仕分けバイトの思い出
僕は、学生時代に宅急便の仕分け所でバイトをした事があり、日によっては、クール便の仕分けに当たる時があります。
荷物をそれぞれの事業所ごとに分ける作業をする部屋なんですが、広さは小学校の教室よりデカイ。
その部屋全体が冷蔵室。そんな巨大な冷蔵庫に入って、思ったのが
さ!寒っ!
当たり前っちゃ当たり前なんですが(笑)予想を上回る寒さ。冷凍室じゃないですよ。
冷蔵室でめちゃ寒い。室内の温度計を見ると、確か3度から5度ぐらいだった。
それにクール便、たまに凍ってるじゃん。
思いだしたのが、冷蔵の宅急便で送っても生モノなんかは凍って届く時がないですか?
確かに、バイト時代を思い返せば、これなら凍りやすい物なら凍るだろうと・・・
んで、別にこれは宅急便屋さんが悪いわけでもなんでもなく、だいたいの運送会社は「10度以下」を保障する物で要は腐らない温度を守る事が大前提だと思います。
今回、クロネコさんと郵パックの方に、「冷蔵便って何度ぐらいなんですか?」と温度を聞いてみたら、どちらも「3度ぐらい」という事でした。
送るのは魚じゃねえ、ワインです。
ただ!こちとら送りたいのはワイン、である。
ワインで3度ってありなん?
赤ワインが保存のベスト温度、12~15度ぐらいか。
白ワインはもちっと低くて、8度~12度ぐらいじゃあるまいか。
3度って大丈夫なんだろうか・・・
逆に通常便で送れば、夏の倉庫は灼熱、そして配達中の車内、ぜったい、30度は超えてるハズである。ひょっとすると40度いくかも。
セラーの平均温度を13度として、40度で送るのか、3度で送るのか、これ・・・どっちもどっちじゃね?(笑)
かくなる上は!
実験せねばなるまい!
だいたい、僕は天邪鬼なもんで世の中で言われてる定説には「本当にぃー?」と思う性格です。(苦笑)
実験開始!
実験は極めて簡単。
通常の宅急便と、クール便で同じ銘柄を1本づつ送り飲み比べる!
ついでに箱の中に、最高温度と最低温度を記憶できる温度計を入れる。
ちなみに送ったワインは、ボルドーの赤ワイン、1470円とちょっと安め。
シャトーモンターニュというワイン。
このワインは、以前から何回も飲んでいるので違いが解りやすいと思う。
それに、リーズナブルなワインだけどこのシャトーは家族経営の小規模なシャトーで、低価格ながら、ちゃんとテロワールも感じるのでこの実験にはピッタリ♪
ちなみに以前に飲んだ時の記事→→うまい酒ブログ:シャトーモンターニュ(赤)
いや、話が脱線した。実験の話に戻ります。通常の宅急便と、チルド便で同じワインを同じ日に自分の家に向けて発送。
まず常温で送ったワインが届く。
段ボールは
ほっかほか~(笑)
箱を開けて気になる温度計のほうを・・・
お、隅っこにちゃんとあります♪壊れてもいないようで一安心。
この日の室温は26度ぐらいでした。気になるのは二日間にわたる移動中の温度。
このクソ暑い夏、最高温度が何度まで上がっていたか?
ぬお!!
熱い!
46度!!
最高到達地点、46度かよ!
解りにくいんですが上が温度、下が湿度です。
左に「MAX」って出ているこれが、この温度計が、これまでに感じた最高温度と最高湿度。
・・・湿度も96%って高えな。
ちなみに、送る寸前に記憶している最高値と最低値は消去していますから、これが間違いなく、輸送中の最高室温。いやすげえな。
クール便で送ったワインも届く。
さて次!
届きましたクール便!
もとい!郵パックで送ったから、チルド便!(笑)
中の温度計が気になります。見てみましょう!
先に言うと、最高温度は25度ぐらいだったかな。
これを送る際の箱に入れる作業をした部屋の温度だと思います。気になるのは最低温度。
ひー!
まじっすか!
マイナスです!
マイナス!
マイナス1度かー!
これは予想を上回った。いや、下回った。マイナス行ったか。ワインの瓶に触ると、かなりヒンヤリ。(苦笑)
瓶ビールなら、今、飲みごろです!(笑)
さあて後は飲むだけ!夜まで間があったので、常温で送ったワインは、そのまま室温(24~26度)クール、いや、チルドで送ったワインは、ワインセラーに入れました(14度)
結果:味の違い
そして夜。
さあ!今こそ実験の結果を見るときです!(ただ飲みたいだけって?)
通常の宅急便で送った赤ワイン
まずわ、普通の宅急便で送った方、最高温度46度の室温に耐えた(耐えた?)ワイン!
どんな味になってるんでしょうか?!
シャトーモンターニュ2010(赤)
うむ!オイチィ♪いや、そうじゃねえか(笑)
通常との違い・・・違い・・・んー、若干、ホントに若干ですが
香りが飛んでる。
ほんとに少しです。このワインはカシスっていうより、もうちょっと青々しい花束のような香りがブワワワー!と来るんですが今回は、ブワワー!ぐらい。
これ、気になる程度ではないです。(きっぱり)
飲み比べて、違いを気にして飲むから、ようやく解る程度です。
んーとなると・・・クールだなんだって、ただ、「気にしすぎ」なのか?
クール便(チルド便)で送った赤ワイン
では次!チルド便で送った方をいきます!マイナス1度の極寒を耐えたエライヤツ!(笑)
こちらも
シャトーモンターニュ2010!
解ったから飲めって?(スンマセン)
あ、こっちも香りが若干、飛んでます。んーでも気になる程では・・・・
あ・・・・
ああ・・・・
了解。わかった。こっち、
余韻の渋みが弱くなってる
赤ワインは渋みは、飲んだ後も、きゅぅぅぅぅぅぅー!っと続きますよね。それが、こっちの赤ワインは
「きゅぅぅ。」
で終わり。
えー!なんでだろ。ただ、その分、なめらかになった・・・かもしれません。
非常に微妙な違いなんで難しいですが、でも、きっぱり解りました。
このワイン、どっちが自分が好きかと言えば
普通の宅急便です!
僕の個人的意見かもしれませんが、赤ワイン、特にボルドーワインは、余韻に浸って飲むのが最高だと思ってます。
だから、渋みと余韻が弱くなってるほうだと、ぜんぜん面白くありません!って事は、
結論!
暑い夏はクール便で送れば大丈夫というのは
ウソ!
これ、思い当たる事があるのが、ワインセラーを買う前に「本当にワインセラーが必要なのか?」と思って、同じように実験したんです。
この時は、今回よりもっと安いワインで試してみたんですが、セラーが無いので実験の仕方は
- 入荷すぐの物
- 冷蔵器(5度)で2カ月ぐらい保存した物
- 常温(店内だから結構25度前後で安定)
この3種類で比べた時、意外に冷蔵庫が一番ひどく劣化したんですよね。
だから、赤ワインの場合、極端に暑いか、極端に寒いかで言うと寒い方が弱いんじゃないか?と思います。
(そして、どんなに安いワインでもセラーに入れないと劣化する)
赤ワイン以外だと、どうなのか?
でも、これは赤ワインの話で、白ワインだと、また違うかもしれません。
泡物(スパークリング、シャンパン等)は炭酸ガスが吹いても困るので、やはり、クールで送った方が良いようにも思います。
それと、家で保管する場合、家だと、室温の変化がすっごい激しいのでリビングに置くなら、野菜室か、もしくは、冷気が直接当たらないように何かに包んで冷蔵室のほうが良いかもしれません。
暑い寒い以前に、急激な温度変化は酒全般ダメなので。
それから、今回送ったワインはこういう結果でしたが、赤ワインでも、ひょっとしたらメドックの重ーいやつとか、年代物とかになると今回の赤ワインと同じ結果になるか?というのは、やってないので断言できません。
ただ、断言できるのは・・・
品質のためにクール便ってのはガセだ!
クール代金の210円払って、その効果って結局、どっちとも言えないって思います。
どちらで送っても「わ!劣化した!」って感じには思えなかったので、微妙な差ではあります。
ちなみに僕は今後、自分の赤ワインを買うときは普通の宅急便にしようかなと(笑)
スパークリングだけクール便にして。
んで、問題は夏場。
クールで送ってもダメージはあるし、通常便でもダメージはある。
どうしても夏場に買う、または送らなきゃいけない時は、液漏れが怖かったらクール。
いや、でもそうか、店側からしたら万が一、液漏れしたら完全にクレーム対象になっちゃうから、クールが正解なのか。
他の人にも実験
俺の舌が狂ってるのだろうか?この実験をすると同時に常連のお客さんにも、数人協力してもらいました。
「こうこう思って、常温で送ります。変わった点があったら教えて下さい」
と、お願いしました。
やはり僕の感想と同じようです。なので僕の個人的な意見では無いと思います。
あ!
遅ればせながら、協力していただいた常連の方々!
ありがとうございました!!
見た目、クール便がいいのは解るが・・・
まー多分、これって、気分の問題かもしれません。
ワインが届いたときに、ほっかほかのダンボールでワインが来れば「ちょっと!これ大丈夫!?」と思われるかもしれない
来年の夏、ウチの店では常温とクール便と選べるようにしようと思います。
スパークリングワインと、日本酒の生酒は強制的にクールになりますが、それ以外は、お客さんの希望で選べばいいかなと。
んで、この実験のネタは、ネットショップにも書いて説明だけ付けて。
よーし!長々と書いたところで本格的に飲もう!(爆)
長文になりました。読んでくれた方に、感謝です!
そして、クール便自体は決して悪くないので暑い中、冷たいまま運んでくれる宅急便屋さんにテンキュー!
ほんと、ワインってのが面倒なだけで、クール便は悪くない。むしろスゴイ。
そして、協力してくれた常連さんに、最大限の感謝!テンキュー!
今回のシャトーモンターニュ2010の感想は改めて書きます。美味いっすよ。相変わらず。
ではでは!飲もう飲もう♪常温で送ったヤツをね。ヒヒヒ。
ワインの保存について記事一覧
- 【赤ワインの保存方法】セラー、常温、冷蔵庫、結局どれよ?って話
- ワインは常温とセラー、保存で味に差が出るか?ホンマか?
- 実験。赤ワインの保存方法、常温について。続き②
- ついでにスパークリングワインの保存も。
- 暑い夏にワインを宅急便で送るには、常温かクール便か?ちと物申す!(このページ)
- ワインをクール便で送るかどうかの問題、その後